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高齢者の生活の質が上がる照明デザイン

坪田眞幸建築研究所

≪明るさの認識は年齢とともに低下する?≫

薄暗い照明は、雰囲気作りにも多様されているしオシャレな空間を演出するオーソドックスな手法として活用されています。 しかし、団塊世代にとってはこれを「暗い」と認識してしまうことになります。 反対に明るく輝く強い照明に対しては、これを「まぶしすぎる」と認識して不快に感じてしまいます。 人間の視覚特性は、20代後半から低下し始めると言われており、なんと40代後半からは高齢者と同じ範疇になってしまいます。 団塊世代は、いくら気持ちを若く保っていても人体の構造上は高齢者に分類されてしまうため、視覚特性も低下してしまっているのです。 薄暗い雰囲気のある照明を「暗い」、強く輝く照明を「まぶしすぎる」と認識してしまう団塊世代にとって、住宅内の照明設備のチョイスは生活の質に直結する問題であると言えるでしょう。

≪「よく見える」で高齢者の生活の質を向上させる≫

住宅照明の照度はJIS基準によって定められていますが、既に高齢者の資格特性となっている団塊世代にとってはJIS基準の照度では照度が不足しています。 高齢者にとって快適な照度とは ・食卓や書斎はJIS基準の2倍 ・リビングなど全般照明はJIS基準の3倍 ・寝室や夜間の廊下ではJIS基準の5倍 が必要だと言われています。 このようにシーン別で照度が異なるのは、高齢者にとって「暗い」ということを満たすよりも「まぶしすぎる」という現象を緩和することのほうが重要であることを意味します。

単に「暗い」と感じるだけなら、全ての照明をJIS基準の5倍程度にしてしまえば済むことです。 ところが「まぶしすぎる」と感じた場合は、深夜なのに目がさえてしまったり、明るすぎてグレア(glare=幻惑)を引き起こし見えづらくなってしまうのです。 高齢者の生活の質を向上させるためには、適切な照明設備が必要です。 例えば、照度を不足を補うためにダウンライトを設置したり、照度を落とすために床材を反射が少ない素材に変更すれば、直接目に取り入れられる照明に頼らなくても照度を調整できます。 玄関の段差や階段にも、上部からの照明だけでなく段差の明暗がはっきりするようなダウンライトを採用すると事故防止にもつながるでしょう。

高齢者にとっての照明は、生活を明るくも暗くもしてしまう重要な要素だと覚えておきましょう。

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