土地のもつ力
- ノセ設計室
- 2018年6月28日
- 読了時間: 2分
京都の設計事務所、ノセ設計室の能勢です。
今回は建物の立つ「土地」について書いてみたいと思います。
一戸建ての家を建てる時、親から譲り受けた土地などがない場合はまず土地さがしから始めることになります。何を優先基準として土地をさがすかについては人それぞれだと思いますが、
・生まれ育った実家に近い。
・現在子供が通っている学校の校区である。
・買い物に便利、駅に近いといった利便性がある。
といったエリアに関する要素や、
・隣地に公園や緑がある。
・海が見えるなど景色が良い。
・日当たりが良い。
・希望通りの建物が建つ土地の広さであり、予算内である。
といった、個別の敷地が持つ、建物の計画に関わる要素があります。
普通、住宅を初めとする建物を設計する時は、まず敷地を調査して、その敷地の特性を十分理解してから設計を開始します。(例外もあります。例えば近代の建築家コルビュジェの「母の家」は建物を設計してしまってからピッタリあう敷地をさがしたそうです。)
僕自身としては建物の魅力は土地の力に大きく依っているように思います。
30代初めの頃、1ヶ月ほどかけてヨーロッパを旅したことがありますが、その時印象に残ったのは敷地の魅力をうまく利用した建物が多いです。
その一つに、ポルトガルのポルトの郊外、大西洋に面して建つアルヴァロ・シザの設計したレストランがあります。このレストランはシザの初期の作品で後の作品と比べて少し装飾的な印象を受けますが、海のそばの小高い丘に建つ低い建物の姿、階段を上って入り口の扉を開けると海が目の前に開けるといったシークエンス、低く抑えられた軒の下から眺めるテーブルからの大西洋の雄大な眺めなど、土地の持つ魅力をとてもうまく利用した建物でした。この時、建物の魅力は土地の力によるものが大きいと再認識し、当たり前のことですが設計する際には土地の力を建物によって十分に引き出すよう心がけています。
設計を依頼される時も、できれば土地さがしの段階から関われたらと思いますので、こういう土地で検討しているだろうがどうだろうか、という時はぜひお気軽に御相談ください。

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