先日匠人の仲間で京都の老舗銘木屋「千本銘木商会」さんにお邪魔してきました。
常務さんで銘木師の中川典子さんのお話をお聞きしながら貴重な銘木や加工場を拝見してきました。
お聞きする中で木材の割れについてまだまだ理解されていないとのお話がありました。
そこで柱や梁の割れについて少し考えてみたいと思います。
なぜ木材は割れるのか?
木材は山の樹を伐って製材することで柱や梁に加工され家の構造材となります。
天然乾燥の場合、伐った丸太は「葉枯らし」といって伐ったまま山で半年ほど放置して自然乾燥をします。工場で人工乾燥をすることもあります。
木が割れるのは外側の辺材(白太)と内部の芯材(赤身)の乾燥速度の違いから発生します。辺材部は、色は白く水分をたっぷり含み、芯材部は色が濃く、成長の止まっている部分で油分が含まれています。 乾燥すると水分が抜けていきますが、水分は圧倒的に白太の部分が多く、収縮の度合いは赤身より白太の方が縮みます。この赤身より白太の方が大きく縮む事によって、白太の方つまり外側が割れるようになります。
画像は木口から見た干割れです。 辺材の方が芯材より収縮が大きい為、干割れは芯から周囲の方向へ向かって放射状に入ります。この為、干割れがどんなに深くても芯で止まるので干割れが貫通して柱や梁がバラバラになる事はありませんし構造耐力が無くなることもありません。
和風建築の場合、化粧柱として使うときは、干割れが入る前にわざと製材機で背割りを入れます。木の内側からも乾燥を促し、なるべく均等に乾燥させる為に他の面に割れが入るのを防ぎます。
木材は伐って製材して柱・梁となってからも水分を吸ったり吐いたり呼吸をしています。
その為、割れが入っても開いたり閉じたりしています。5年10年と年数が経つとだんだん落ち着いてくると思います。
また、前述したように構造上の問題はありませんので心配しないようにしてください。
万が一不運にも化粧面に酷い割れが生じた場合は少し様子を見て大工さんと相談して下さい。割れを目立たなくする方法もあります。