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緑を取り込む工夫

傳寶慶子建築研究所

『家は買うものではなく、創り上げていくもの』

今回のテーマは

「窓の位置を考える~その1~」

明るさを確保する、という目的だけでむやみに窓をつけてしまうと、

外からの視線ばかりが気になり、窓があっても1日中カーテンは閉めっぱなし、という状態

に陥ってしまいます。

敷地の周辺環境を細かく読み解くことは、私たち建築家にとって、とても重要な仕事の1つ

となっています。そのため、光をどこから取り入れ、内部からはどのように見えているか、

ということを常に考えながら、仕事を進めていかねばなりません。

さて、今回ご紹介する事例は

敷地面積30坪。北側に公園があるけれど、南・東・西側は、3階建ての住宅に取り囲まれ、

普通に家を建てると、1階部分は真っ暗闇!という敷地です。

せっかく公園があるのだから、その木々の緑を家の中から眺めたい・・・

でもすぐ目の前は道路だし、道行く人から家の中を覗かれる・・・

こんなお施主さんからのリクエストにお答えし、完成した写真がこちらです。

高い位置に窓をつけることで、道行く人からの視線をまったく気にせず、純粋に「緑」だけを

取り込むことに成功しました。また、天井高さを通常よりも高くとり、その高さなんと3.3m!

さらに、空間を有効利用するため、窓際には「中2階の書斎スペース」を作りました。

大きな杉の1枚板で机を作り、目の前にはパノラマ風景として緑が広がります。

じつはこの大きな窓、北側を向いているのです。

そのため、直射日光が入ることなく、1日中安定した優しい光が室内に降り注ぎ、本を読んだり

勉強したりする書斎には、最適の光環境となっています。

一般的に「北側は暗い」というイメージがありますが、

敷地条件によっては「北側に大きな窓」ということも十分に考えられ、それが住まいをより魅力的

なものにする一因となることもあるのです。

次回のコラムは、このお家のもうひとつの魅力的な窓、についてお話ししたいと思います。

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