木造住宅での屋根の作り方は色々ありますが、最も一般的ものは伝統的な和小屋、つまり小屋梁(水平梁)をかけて束で母屋を受け、小屋梁の下で天井を貼り、天井断熱をする方法のように思います。
その一方で水平梁を省略し、登り梁にて小屋組を構成する方法もあります。
当事務所では登り梁による小屋組を多く採用しています。
この形式では、斜めに架けた梁の上に、屋根の剛性を高めるため構造用合板24mmやJパネル等の構造用面材を貼ります。(当事務所の場合、これがそのまま天井の仕上げとなることが多いです。)次に、構造用面材の上に垂木を流し、その間に断熱材を入れます。(垂木を登り梁と同じ方向に流すか、直交方向に流すかは軒の作り方によって異なります。)
垂木の高さは断熱材の厚みと等しくなるので、近年の省エネ基準に合わせるため高くなる傾向にあり、最近では105~120mmとすることが多いです。
更に結露対策のため、断熱材の外側に20mm程度の通気層をとり、軒先から棟に空気が抜けるようにします。その上にルーフィング、屋根仕上げが来て完成です。
登り梁形式の利点としては、
・小屋裏空間を有効に利用することができる。
・デザイン的に登り梁を見せることができる。
欠点としては、
・登り梁の加工が手加工になることが多く、若干コストが上がる。
ことなどが挙げられます。
ただ、水平梁が邪魔にならないようなプランであれば和小屋形式でも小屋裏空間の利用や構造材あらわしは可能です。当事務所ではプランに合わせてその都度最適な小屋組の解を考えており、設計の最も重要な部分の一つとなっています。